アーセナルに所属するドイツ代表MFメスト・エジルの代理人がバイエルン・ミュンヘンのウリ・ヘーネス会長を痛烈に非難した。
エジルは22日、自身のツイッター上でドイツ代表からの引退を発表。その背景にはロシア・ワールドカップ開幕前に、人権問題などで国際的に批判の浴びているトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と写真を撮ったことに対する自身への批判があると明かしていた。
エジルの代表引退についてヘーネス会長は「悪夢が終わってくれて嬉しいよ。彼はここ数年間はクソみたいなプレーをしていた」と辛辣な言葉を送った。しかし、この心ないコメントに対してこれまでにも多くの非難を浴びてきたエジルを擁護してきたエルクト・ソグト代理人は『Goal』で口を開いた。
「ミスター・ヘーネスのコメントは完全に的を外れている。まったくもってフットボールとは関係のないものだ。本来の問題から注意をそらせようとしているだけだ。問題の根源は日々ドイツ社会でまかり通っている人種差別にある」
「彼は声明で、合理的で公正な批判は受け入れ、これに対して対処することも仕事の一部だと話した。しかし、根拠のないバカげたミスター・ヘーネスの声明は明らかに誇張したもので、彼が結果を残してきたことは明らかだ。24ゴールに、ドイツ代表記録にあたる40アシスト、そして5度のドイツ代表年間最優秀選手を獲得した。そのうちの3回は2014年以降のものだ」
「彼はメストが何年にもわたり“ゴースト”だったと主張したが、“ゴースト”がこれだけのタイトルを勝ち取り、これだけ多くの成功を残せるか? 2018年のワールドカップでも、90分あたりのチャンスメイクはどの選手よりも上回っていた。バイエルンの会長として、パフォーマンスのことを言うのは最善ではない。なぜなら彼らのクラブから8人もの選手がドイツの一員としてプレーした」
「仮にメストがそのような悪い選手だとしよう。それならば、ヨアヒム・レーブやアーセン・ヴェンゲル、ジョゼ・モウリーニョは彼のコメントに対して何と言うのだろうか。これら3人のエリート指揮官は、メストをこのポジションで世界最高の1人と絶賛していた。彼がこの3名の指揮官よりもフットボールを見る目があるなんて思っているのなら笑ってしまう」
「誰もが知っているようにメストは2014年のワールドカップと2016年のユーロで、デュエルで65%もの勝率を残した。それに、2016年のイタリア戦とフランス戦で彼は一番重要な選手だった。繰り返すが、彼のバカげた発言は冷笑ものだ。このような嘘は安っぽいもので、根拠が全くない」
さらに、同代理人はヘーネス会長の発言は自身だけではなく、クラブや国の恥をさらす行為だと糾弾した。
「ミスター・ヘーネス、私たちはこれ以上の時間やエネルギーをこのようなことを言い合うために無駄にしたくはない。君自身の価値を下げるだけではなく、バイエルンとドイツの人々の顔に泥を塗る行為だ」
ソグル代理人は続けて「メストの声明はフットボールにフォーカスを当てたものではなく、再び巻き起こる人種差別と、無差別にスケープゴートにされたことについてだ。移民やイスラム教徒など公平な扱いをされていない人たちのために、彼は勇気を出して声を上げた。ヘーネスは明らかに事実と向き合うことから逃げようとしている人間の1人で、偽りを作ってその後ろに隠れているだけだ」とさらに声を強めた。
「ヘーネスは、メストのフットボールに関する狂ったコメントを発表して、大きな反響を呼び、本来の問題を包み隠せると考えたのだろう。これらは彼や多くのドイツ国民が直面することを恐れている問題だ。彼は居心地の悪い事実と対面することができないから、隠すことを選んだのだろう。しかし、彼は自身の真の人間性をさらけ出してしまった」
そして、最後に「彼(へーネス)の成功を望んでいない。メストはピッチ内外でドイツのために全てを捧げてきた。彼が夢に見ていた以上に多くのことに貢献したんだ」と最後まで代表引退を表明したエジルを擁護した。
2009年にドイツ代表デビューを飾って以降、エジルは92試合試合に出場し、2014年のワールドカップ制覇に貢献した。